16日の米国債市場では利回りが上昇。連邦公開市場委員会(FOMC)が積極的な利下げを実施するとの臆測は行き過ぎだったとの見方から、国債売りが膨らんだ。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
米30年債利回り | 4.29% | 11.8 | 2.82% |
米10年債利回り | 4.05% | 11.5 | 2.93% |
米2年債利回り | 4.21% | 6.9 | 1.67% |
米東部時間 | 16時52分 |
金利スワップ市場では、3月の利下げ確率がほぼ65%に低下した。12日時点では約80%だった。米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は、市場が見込む年内6回の利下げについてけん制とも取れる発言を行った。「経済活動と労働市場は良好な状態で、インフレ率は漸進的に2%へと低下しつつあることから、以前ほど急いだり迅速に利下げしたりする理由は見当たらない」と語った。
ウォラーFRB理事、年内の利下げ可能-インフレの再燃なければ (1)
エバコアISIの中央銀行戦略の責任者、クリシュナ・グハ氏は「急ぐ必要はないと強調した理事の発言は、3月の利下げを推進しないことを示すもので、主張は全般的に、5月か6月に最初の利下げを実施するという当社の基本シナリオと一致している」と指摘した。
ブック・リポートの著者、ピーター・ブックバー氏は「現在の情報を基にすれば、米金融当局は年内に3回の利下げを実施するつもりだ。経済状況が悪化し、失業率が4.5-5%に向かい始めた場合のみ、さらに引き下げるだろう」と述べた。失業率は昨年12月現在で3.7%。
B・ライリー・ウェルスのチーフ市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は米金融当局がいつ利下げを実施するかではなく、なぜ利下げを行うのかに注目することが重要だと指摘。「経済の歯車が狂い始め、当局が景気刺激策を急ぐ必要性を感じているのなら、それは最適とは言えない。インフレ率が目標に向かって低下し続け、当局が景気に対して過度に抑制的であることに気づいたときに実施されるのが良い利下げだ」と話した。
米国株
米株式相場は下落。利下げ観測が弱まり、売りが優勢になった。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 4765.98 | -17.85 | -0.37% |
ダウ工業株30種平均 | 37361.12 | -231.86 | -0.62% |
ナスダック総合指数 | 14944.35 | -28.41 | -0.19% |
モルガン・スタンレーは大幅安。ウェルス事業で比較的低い利益率が続く可能性があると複数の幹部が発言したことが響いた。一方、ゴールドマン・サックス・グループの株価は上昇。株式トレーディング部門がアナリスト予想の3倍となる大幅な増収を記録し、全体の収入が予想を上回った。
モルガンSの株価大幅安、ウェルス事業利益率は低水準続く見通し (2)
ゴールドマン、収入が予想上回る-株式トレーディングが大幅増収 (1)
アナリストが投資判断を引き下げたボーイングは安い。アップルも下落。アプリ市場運営を巡る米エピックゲームズとの反トラスト法(独占禁止法)訴訟で、連邦最高裁判所はアップルによる上訴を退けた。
アップルの上訴を米最高裁が退け、アップストア巡るエピックとの訴訟
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のファンドマネジャー 調査によると、利下げに対する楽観的な見方を背景に、投資家の米国株へのエクスポージャーは約2年ぶりの高水準。マイケル・ハートネット氏率いる調査チームは「利下げに対する楽観が記録的な高水準」にあると記述。調査回答者の79%が2024年に世界経済はソフトランディングあるいはノーランディングを経験するとの見通しを示したという。
UBSグループは昨年12月にFOMCがハト派的な政策に転換したことを受けて、2024年のS&P500種株価指数の見通しを6%引き上げ、5150に設定した。約1カ月前には4850としていた。RBCキャピタル・マーケッツは先週、ゴールドマン・サックスは12月に見通しを上方修正していた。
過去3カ月の間に業績予想は大幅に下方修正され、ウォール街のストラテジストはほとんどの企業が今シーズンのアナリスト予想を容易に上回るだろうとみている。
しかし、喜ぶ理由はほとんどない。モルガン・スタンレーのストラテジストは、昨年第4四半期(10-12月)の利益予想が7%引き下げられたのは、米企業が前年比でほとんど成長しなかったことを意味すると指摘した。
外為
ニューヨーク外国為替市場では、ブルームバーグ・ドル・スポット指数が10カ月ぶりの大幅高。ウォラー理事の発言を受けた米国債利回りの上昇がドル買いを誘った。
円は一時1.1%下げて、1ドル=147円31銭を付けた。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
ブルームバーグ・ドル指数 | 1237.14 | 10.19 | 0.83% |
ドル/円 | ¥147.18 | ¥1.45 | 0.99% |
ユーロ/ドル | $1.0876 | -$0.0074 | -0.68% |
米東部時間 | 16時52分 |
原油
ニューヨーク原油相場は小反落。ノースダコタ州の生産障害や紅海における商船攻撃の激化にもかかわらず、リスク回避ムードがプラスの影響を打ち消し、不安定な値動きとなった。
ドルが値上がりし、ドル建てで取引される原油の割高感が意識されたことも重しとなった。
主要なシェール鉱区があるノースダコタ州では、寒波の影響で最大で日量65万バレルの原油生産が止まった。紅海ではこの日、商船が前日に続き、イエメンの親イラン武装組織フーシ派による攻撃を受けた。これを受けて、午前の取引で相場は値上がりする場面もあった。
紅海でのリスク増大を受けて、英シェルは同海域を経由する全ての船舶航行を停止したが、原油の現物供給には影響が出ていない。米シェブロンのマイク・ワース最高経営責任者(CEO)はブルームバーグテレビジョンに対し、海運ルートについて「根本的な」変更は行っていないと述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物2月限は前営業日比28セント(0.4%)安の1バレル=72.40ドルで終了した。一方、北海ブレント3月限は0.2%高の78.29ドル。
金
ニューヨーク金相場は大幅安。米利下げ観測は行き過ぎとの見方から、スポット価格はおよそ1カ月ぶりの大きな下げとなった。
ウォラー理事の発言を受けて米国利回りは跳ね上がり、利下げの時期とペースについて見直す動きが広がった。
紅海で相次ぐ商船攻撃など中東情勢の緊迫が物価を押し上げかねず、世界経済の見通しに対する新たなリスクとなっている。地政学や経済を巡る不透明感が高まると、逃避買いを誘発する傾向があるため、足元の動向は金のような安全資産には支援材料だ。
借り入れコストが高止まりする中で労働市場がどう持ちこたえているかを見極める上で、今週発表される失業保険データの継続受給者数に注目が集まっている。
金スポット価格はニューヨーク時間午後2時24分現在、前日比28.32ドル(1.4%)安の1オンス=2028.23ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は前営業日比1%安の2030.20ドルで終了した。
原題: Bonds Slide as Fed’s Waller Downplays Need to Rush: Markets Wrap(抜粋)
Dollar Heads to Biggest Gain in Ten Months: Inside G-10
Oil Falls as Risk-Off Sentiment Outweighs Offline US Crude Field
Gold Extends Drop as Fed’s Waller Dampens Hawkish Pivot Bets
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