
みずほ銀行で2月28日に発生した現金自動預け払い機(ATM)の障害では、経営陣の見通しの甘さが混乱を拡大させた。みずほは月内にも金融庁に再発防止策などを報告するが、体質改善に向けてどこまで踏み込めるかが焦点となる。
「大変初歩的なミスで信じられない」。ある地銀首脳はみずほの失態にあきれた様子だった。月末は、定期預金の自動継続などの作業が集中する。システムに負荷がかかるため、銀行界ではこうした日にはメンテナンスなどはしないのが「常識」となっている。
しかし、みずほは違った。みずほは1月に紙の通帳を使わない「デジタル口座」のサービスを始めた。これに伴い、1月末時点で1年以上記帳がない口座を6回に分けてデジタル口座に移す予定を立てた。2月の最後の週末に、それまでやったことのない大量のデータの移行作業をしたことで、システムがパンクした。
紙の通帳は4月時点の数に対して1冊200円の印紙税がかかる。みずほ関係者は「3月中に紙の通帳数を少しでも減らすため、データ移行を急いだ」と打ち明ける。
2019年夏に完全移行した現在のシステムは、異常が発生した部分を切り離すことで、システム本体を守る設定になっている。今回は定期預金取引での異常を察知したことで、ATMの大半が使えなくなった。過去2回の大規模障害よりは短期間で収束したが、それでも多くの顧客が大迷惑を被った。
痛恨だったのは、ATMがキャッシュカードや通帳を取り込み、顧客にすぐに返却できなかったことだ。こうした事例が5244件も発生した。
偽造カードの使用など不正が疑われる場合に備え、ATMにはカードを戻さなくなる仕組みがあるが、一般にはあまり知られてはいない。慌てた顧客はATMに備え付けられた電話でコールセンターに連絡したが、障害が全国各地で起こったため、つながりにくくなった。関係者によると、9割以上の電話を取り損なったという。ATMの前で数時間待たされた顧客も多かった。
システム障害が起きた時、ATMがカードを取り込むかどうかは各行で異なる。三井住友銀行は原則的にキャッシュカードをはき出す設定になっているが、三菱UFJ銀行は取り込む可能性があるという。東洋大の野崎浩成教授は「どちらが正しいと言うことは難しい。大事なのは事後対処で、コールセンターも対応できる人員や連絡体制を準備しておくべきだった」と指摘する。
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