東京電力柏崎刈羽原発のセキュリティー対策不備を受け、東電の小早川智明社長が25日新潟県に来県し、県や県議会に「おわび行脚」をした。かつては原発再稼働を推進する立場にあった与党県議からも、異例の厳しい批判が相次いだ。【井口彩、北村秀徳】
「県民の皆様に多大なる心配、不安をおかけし、心よりおわび申し上げます」
県庁の特別応接室で、直立したままの花角英世知事、佐久間豊副知事、熊倉健防災局長の前で、小早川社長ら4人の東電幹部は深々と頭を下げた。
花角知事は「県民の信頼は大きく損なわれた」と述べ、東電が原発を運転する技術的能力に疑問があると改めて指摘した。ただ、ここでは県側、東電側の双方とも言葉は少ないまま淡々と終わり、予定していた15分の面会は半分程度で終わった。
だが、次の自民党県議への面会では様相が違った。
「安全よりも経営再建にウエートがかかっているとしか思えない」「新潟県のことを何だと思っているのか」。県議会庁舎の会議室で自民県議31人全員の前で陳謝した小早川社長に、県議からは矢継ぎ早に厳しい質問が飛んだ。
柄沢正三県議は「小早川社長は毎年冬の豪雪のときに(柏崎刈羽の)現場を見てほしい。過酷事故が起きたら避難なんかできない」と疑問を呈した。その上で「できれば原子炉建屋の隣に永住する覚悟を決めてください。そうしないと現場が分からなくなる」と語気を強めた。高橋直揮県議は「原発が稼働したときに得するのは東電と東京をはじめとする9都県。新潟県はもはやただの立地県でしかない」と指摘した。
小早川社長は「電力を安定供給するためには、私は原子力はどうしても一定程度必要と考えている。この問題を解消しない限りは再稼働できる状態になく、対策することに全力を注ぎたい」と柏崎刈羽の必要性を述べた。
県議の小野峯生・県連幹事長は「福島事故からの10年に何の反省もなかったと言わざるを得ない」と指摘した上で、面会の最後にこう述べた。「撤退もあり得ることを基本に、会社のこれからのことを考えてほしい。エールなど送りません」
小早川社長は、公明党の県議や柏崎市議らとも面会した。志田邦夫・県本部代表は、東電のトラブル隠しや福島第1原発事故と今回の失態を並べ「仏の顔も三度まで。今回が本当に最後という覚悟と決意を持ってほしい」と述べた。
小早川社長は一連の面会が終了した後、報道陣の取材に「さまざまな疑念や過去の企業体質にも指摘を受けた。福島事故の教訓と反省が生かせていなかったのではないかと思う。そういった視点も盛り込み、発電所を生まれ変わらせるように取り組む」と述べた。
一方、24日に原子力規制委員会が東電に核物質の移動を禁じる命令を出したことについては「内容を詳細に確認した上で適切に対処したい」とした。
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